こんにちは!岡山・倉敷の不動産専門1級FP佐伯です。
「子供や孫が、家を建てたり、結婚したり…。
人生の大事な節目に、まとまったお金を援助してあげたいな」
「どうせいつか渡す財産なら、自分が元気なうちに、喜ぶ顔が見たい」
相続について考え始めると、多くの方がそう思われるのではないでしょうか。
その想いを形にするのが「生前贈与」です。とても素敵なことですよね。
でもこの「生前贈与」やり方を間違えると「贈与税」という、思わぬ高額な税金がかかってしまうことがあるんです。
今日は、大切なご家族を笑顔にするための、「賢いお金の渡し方」について、一緒に見ていきましょう!
基本のキ!毎年使える「110万円の非課税パスポート」
まず、生前贈与の基本中の基本。
それは、「年間110万円までなら、誰でも、誰からもらっても、贈与税はかからない」というゴールデンルールです。
これは国が「毎年110万円分の、非課税パスポートをあげますよ」と言ってくれているようなもの。
例えば、倉敷にお住まいのご夫婦が、お子様一人に贈与する場合、
- お父様から110万円
- お母様から110万円 と合計で年間220万円を、非課税でプレゼントすることができます。
毎年コツコツ続けることで、将来の相続財産を計画的に減らしながら、ご家族の生活を応援できる。
最もシンプルで、多くの人が活用している方法です。
【要注意!】これって贈与?それとも「名義預金」?
ここで、よくある失敗例をご紹介します。
おじいちゃんがお孫さん名義の通帳を勝手に作って、そこに毎年110万円をコツコツ貯金しているケースです。
「孫には内緒のサプライズ資金だ」なんて思っていると税務署からは
「それ、贈与じゃなくて、おじいちゃん自身の『名義預金』ですね」
と見なされてしまうことがあります。
ちゃんとした贈与にするには贈与契約書を作ったり、お孫さん自身がその口座を
いつでも自由に使える状態にしておいたり、といったルールがあるんです。
ただ口座にお金を入れるだけではダメと覚えておいてください。
人生のビッグイベントに!3つの「大型・非課税クーポン」
「でも、子供が家を建てるのに、110万円じゃ足りないよ…」 ご安心ください。
そんな人生の大きなイベントのために、国は特別な「大型・非課税クーポン」を用意してくれています。
代表的な3つをご紹介します。
1. 「マイホーム応援クーポン」(住宅取得等資金の非課税)
お子様やお孫様が家を建てたり、買ったり、リフォームしたりするためのお金なら
なんと最大1,000万円までが非課税になります! (※2025年現在。省エネなど質の高い住宅の場合。通常の住宅は500万円) 岡山でも人気のエリアでは土地の価格も高くなっていますから
この制度がマイホームの夢を強力に後押ししてくれます。
2. 「学費応援クーポン」(教育資金の一括贈与の非課税)
お子様やお孫様(30歳未満)の将来の学費のためのお金なら、なんと最大1,500万円までが非課税に!
大学の入学金や授業料はもちろん、塾や習い事の月謝にも使えます。(※塾や習い事は500万円まで)
3. 「結婚・子育て応援クーポン」(結婚・子育て資金の一括贈与の非課税)
お子様やお孫様(18歳以上50歳未満)の結婚や子育てのためのお金なら
最大1,000万円までが非課税になります。(※結婚費用は300万円まで)
そして朗報です!2025年の税制改正でこのクーポンの利用期限が2年間延長され
2027年3月31日まで使えることになりました。
上級者向け!「相続の時に精算プラン」(相続時精算課税)
最後に、ちょっと上級者向けのプランをご紹介します。
これを、僕は「相続の時に精算プラン」と呼んでいます。
このプランを選ぶと、なんと合計2,500万円までは贈与税が一切かかりません。
その名の通りこのプランで贈与した財産は相続の時に、
一旦すべて足し戻して、最終的な相続税を計算(精算)するという仕組みです。
どんな人になぜ向いている?
この「精算プラン」は、特に次のような方に、大きなメリットがあります。
- 将来、値上がりが期待できる財産を渡したい方
この制度の一番のメリットは、将来の相続税を計算するとき、
財産の価値を「贈与した時点」の金額で固定(フリーズ)できる点にあります。
例えば、今2,000万円の価値がある株式が、10年後には5,000万円に値上がりしているかもしれません。
この株を今のうちにこの制度で贈与しておけば、将来の相続税計算ではいくら値上がりしていても「2,000万円」として扱われるのです。 - 賃貸アパートなど、収益を生む不動産を早く引き継ぎたい方
賃貸アパートをこの制度で子供に贈与した瞬間から、そのアパートが生み出す家賃収入はすべて子供のものになります。
もし贈与しなければその家賃収入は親の預金として貯まり続け、将来の相続税をさらに増やしてしまいます。
早く贈与することで将来の相続財産が増えるのを防ぎつつ、若い世代の生活を直接サポートできるのです。 - 事業承継のために、会社の株式をまとめて贈与したい経営者の方
今後、会社の利益が増えて成長していくことが見込まれる場合、それに伴って会社の株価もどんどん上がっていきます。
何もしなければ将来、後継者が支払う相続税も、今の何倍にもなってしまうかもしれません。
しかし、利益がまだそれほど出ていない「今」、この制度を使って株式を贈与しておけば、
将来の相続税を計算する際の株価を、「贈与した時点」の低い価格で固定(フリーズ)できるのです。
「将来成長する会社の株式」を贈与するのに、これほど有効な制度はありません。
ただし、一度この「精算プラン」を選ぶ、その相手には、
もう「110万円の非課税パスポート」は使えなくなる。
という重要なルールがあるので、利用は慎重な計画が必要です。
想いを伝える、賢い「渡し方」を選ぼう
生前贈与は、単にお金を渡すだけの行為ではありません。
ご家族への想いを、一番良いタイミングで一番良い形で伝える、コミュニケーションのツールです。
今回ご紹介したように国が用意してくれた様々な制度を上手に使い分けることで、
ご家族の負担を軽くし夢を応援することができます。
どの制度がご自身の家族にとって最適なのかもし迷われたらぜひ私たちのような専門家にご相談ください。
あなたの温かい想いが最高の形でご家族に届くよう、最適なプラン作りを心を込めてお手伝いさせていただきます。