え、まだ表面利回りだけで物件判断してるの?それ危険ですよ!

こんにちは!
不動産専門FP1級の佐伯です!

投資家希望の皆さんとお会いする際によく話題になるのが、不動産情報サイトの見方です。
物件サイトを見ていると、ズラリと並ぶ「表面利回り10%!」「高利回り!」の文字。
ついつい、この数字だけで「お、この物件は収益性が高そうだ!」なんて思っていませんか?

実は、FPとして断言しますが、それは非常に危険な判断です!

今日は、不動産投資の初心者が陥りがちな「表面利回りの罠」について、
私と一緒に学んでいきましょう!
この記事を読み終わる頃には、「なるほど!プロはこういう視点で見ているのか!」と
ご理解いただけること間違いなしですよ。

アパート投資の常識?「表面利回り」という名の魔物

さて、皆さんに質問です。

アパートを探すとき、何を基準に物件の収益性を判断していますか?
「それは当然、利回りでしょう!数字が高い方が儲かるということですよね?」

ええそうお考えになるのが一般的です。
私も不動産投資を本格的にする前はそうでした。
不動産投資の世界では、いつの間にか「表面利回り」が物件の価値を測る共通言語のようになっています。

しかし、本当にその物差しだけで良いのでしょうか?

ここで、一つ事例を考えてみましょう。

【問題】

ここに、2つのアパートがあります。
あなたはどちらのアパートに投資したいですか?

  • Aアパート:価格1億円、年間家賃収入1,000万円(表面利回り10%)
  • Bアパート:価格8,000万円、年間家賃収入800万円(表面利回り10%)

…いかがでしょう?どちらも表面利回りは10%で同じですね。

「うーん、どちらも同じ収益性に見えますね…。価格が安い方のBアパートでしょうか…?」

そうですよね。この情報だけだと、どちらが優良物件か判断するのはわからないのです。

実は、私たちプロの投資家やFPは
この「表面利回り」だけでは決して物件を判断しません。
我々が見ているのは、「NOI(Net Operating Income)」という、より実態に近い指標なのです。

プロは常識!「NOI」で見る、建物の本当の実力

「NOI…ですか?初めて聞きました。」

ご安心ください。
NOIは決して難しい概念ではありません。

簡単に言えば、NOIとは「年間の家賃収入から、アパートを運営するためにかかった経費を差し引いた、本当の利益」のことです。

物件の本当の実力は、以下の計算式(キャッシュフローツリーの考え方)で導き出します。

【ステップ1】実効総収入(EGI)を求める まずは、空室などを考慮した、より現実的な家賃収入を計算します。

満室想定家賃収入(GPI)−空室損・未回収損=実効総収入(EGI)

【ステップ2】営業純利益(NOI)を求める 次に、現実的な家賃収入から、物件の運営にかかる経費(OPEX)を差し引きます。

実効総収入(EGI)−運営費(OPEX)=営業純利益(NOI)

※運営費:管理委託費、修繕積立金、固定資産税、火災保険料、共用部の水道光熱費など

このNOIこそが、その建物が本来持っている「稼ぐ力」、つまり真の収益力を示しているので

計算式で暴く、表面利回りの罠!

さて、この計算式を使って、先ほどの問題を見てみましょう。
今回はシンプルにするため、「年間家賃収入=実効総収入(EGI)」として計算しますね。

  • Aアパート:
    • NOIの計算: 実効総収入 1,000万円 – 運営費 200万円 = NOI 800万円
    • NOI利回りの計算: NOI 800万円 ÷ 物件価格 1億円 = NOI利回り 8.0%
  • Bアパート:
    • NOIの計算: 実効総収入 800万円 – 運営費 300万円 = NOI 500万円
    • NOI利回りの計算: NOI 500万円 ÷ 物件価格 8,000万円 = NOI利回り 6.25%

この結果を見て、いかがでしょうか?

表面利回りは同じ10%だったにもかかわらず、
運営費を考慮して計算すると、
Aアパート(NOI利回り8.0%)の方が、Bアパート(NOI利回り6.25%)よりもずっと収益性が高い
という事実が浮かび上がりました。

Bアパートは、例えば管理費が割高であったり、
古い木造で修繕費が多くかかったり、といった要因があるのかもしれません。
表面的な数字だけを見てBアパートに投資していたら、
「シミュレーションと違う…思ったより手元にお金が残らない…」という事態に陥っていた可能性が高いのです。

これが、「表面利回りの罠」の正体です。

まとめ:NOIで考えないと、痛い目にあいますよ!

いかがでしたでしょうか。

「表面利回り」は、あくまでも物件のポテンシャルを示す入り口の数字に過ぎません。その物件が本当にあなたの資産を増やしてくれるのかどうかは、運営費をしっかりと見込んだ「NOI」で判断しなければなりません。

不動産投資は、決して「楽して儲かる」魔法ではありません。
しかし、正しい知識を身につけ数字の裏側にある真実をしっかりと読み解くことができれば、
これほど安定した資産形成ができる投資もありません。

これからは、物件情報を見る時に「この物件の運営費はいくらで、NOIはどのくらいだろう?」という
プロの視点を持ってみてください。
それだけで、あなたの不動産投資の成功確率は、間違いなく格段に上がるはずです。

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