見落としがちな諸費用と購入後の維持費をやさしく解説
「3,000万円の中古住宅を買おう」と思ったとき、
つい“家の値段”ばかりに目がいってしまいませんか？
でも実際に購入を進めてみると「えっ、物件代金以外にもこんなにお金がかかるの!?」と驚く方がほとんどです。
不動産を買うときには、建物や土地の価格だけでなく、
手続き・税金・保険・ローン関係などの費用＝“諸費用”がかかります。
この記事では、不動産専門の1級FPとして、購入時と購入後にかかるお金をできるだけわかりやすくお話ししますね。
まずは全体像：「物件価格の7〜10％」が目安
中古住宅を買う場合、物件価格の7〜10％前後を諸費用として見ておくのが安心です。
3,000万円の物件なら、だいたい200〜300万円ほどになります。「は？ふざけんな！」
という怒りが聞こえてきそうですが・・それが現実なのです。
では、どんなお金が含まれているのか、一つずつ見ていきましょう。
仲介手数料は「安心を買うための報酬」
不動産会社に支払う仲介手数料。
「紹介料みたいなもの？」と思われがちですが、
実際にはあなたの取引を安全に導くための専門報酬なんです。
不動産会社は、あなたの代わりに
- 登記簿や都市計画から法的な制限を確認し、
- 設備や雨漏りなどの不具合を調べ、
- 契約条件を整えてトラブルを防ぐ
こうした“見えない仕事”をしてくれています。
手数料の上限は国で決まっていて・・
（物件価格×3％）＋6万円＋消費税
3,000万円の物件なら約105万円（税込）。
この金額は法律で定められた上限であり、全国共通です。
高いな～と思われるかもしれませんが安心料だと思ってくださいね。
登記費用と登録免許税ってなに？
家を買うときは、「この家はあなたのものですよ」と国に正式に登録する必要があります。
この手続きが「登記」、そしてそのときに国に納めるのが登録免許税です。
いわば、「あなたの所有権を証明する登録料」です。
中古住宅を買うときは、前の持ち主からあなたへ名義を移す「所有権移転登記」を行います。
登録免許税は固定資産税評価額の0.4％前後が目安。
評価額が2,000万円なら、約8万円です。
登記の手続きは司法書士が代わりに行ってくれます。
その司法書士への報酬は5〜10万円前後（税込6〜11万円程度）が一般的です。
所有権移転とローンの抵当権設定を合わせて依頼すると、合計で10〜15万円ほどが相場ですね。
抵当権設定費用とは？
住宅ローンを借りるとき、銀行は「もし返せなくなったらこの家を担保にします」という権利（＝抵当権）を設定します。
その手続きが抵当権設定登記です。
ここにも登録免許税がかかり、借入額の0.4％前後が目安。
たとえば2,500万円借りるなら約10万円ほどです。
こちらも司法書士が代行し、報酬として1〜2万円前後がかかります。
ローンの保証料と団信（団体信用生命保険）
住宅ローンを借りるときにもう一つ出てくるのが「保証料」。
これは、もしあなたが返済できなくなったときに、この保証会社が
銀行にいったん立て替えてくれる仕組みのための費用です。
支払い方は2パターンあります。
- 一括前払い型：契約時にまとめて支払う方法
- 金利上乗せ型：金利に少し上乗せして、毎月の返済に含める方法
金融機関によって違いますが、私の経験上、実際にはほとんどの方が「金利上乗せ型」を選ばれています。
やはり、購入時は登記や引っ越しなど他にも現金が必要になるため、
「初期費用を抑えて毎月払いにする」という選択が多いですね。
また、団体信用生命保険（団信）は、今の住宅ローンでは金利に含まれているのが一般的です。
別途支払うというより、「ローンを借りる条件の一部」と考えておきましょう。
不動産取得税・火災保険・その他
家を買って半年〜1年ほど経つと、都道府県から「不動産取得税」の納付書が届きます。
これは不動産を取得したときに一度だけかかる税金で、
固定資産税評価額の3％（軽減後は5〜20万円程度）が目安です。
火災保険・地震保険も必要で、10年間で10〜20万円前後が一般的です。
さらに、引っ越し費用・家具・カーテン・照明・リフォーム費用など、
生活を始めるための出費も数十万円単位で発生します。
買ったあとにかかる「維持費」
住宅を買って終わり、ではありません。
所有している間にも、次のような費用がかかります。特に中古物件を購入された方は
修繕・メンテナンスを意識しておいてください。
- 固定資産税・都市計画税：年間10〜20万円前後
- 修繕・メンテナンス費：外壁塗装や給湯器交換など、10〜15年ごとに数十万円〜100万円
- マンションなら管理費・修繕積立金：月2〜4万円程度
まとめ：家の価格だけを見て決めない
不動産購入では、「物件価格＝支払う金額」ではありません。
登記費用、保証料、保険、税金、修繕費など、
“家の代金以外にかかるお金”が想像以上に多いのが実情です。
でも、これを知っておくだけで安心です。
「トータルでいくらかかるか」を把握しておけば、
買ったあとに資金が足りなくなることはありません。
不動産専門の1級FP事務所では、
購入前の資金計画から購入後の維持・将来の売却まで、トータルでサポートしています。
「この物件を買っても大丈夫？」「諸費用を含めた総額を知りたい」
そんな方は、どうぞお気軽にご相談ください。
